精度管理責任者の憂鬱

小さな検査室の日常

またまた緊急事態宣言

小さな検査室では、あまり変化がないんだけど

また緊急事態宣言は発出されましたね。

 

検査室では、ほぼ緊急検査のみ行っているので

病院が業務停止しない限り、何かしら仕事があります。

ただ、緊急以外の検査はどかーんと減るわけでありまして

業績的にはどんどん悪くなっているようです。

 

そうなると次に始まるのは人員削減。

そうじゃなくても、密がダメなので休ませなければなりません。

 

で、実際のところ。

検査数は減っていても手数が減ったわけじゃないので

いつもよりも少し早く終わるだけなんだけど、

検査員全員のスキルもそこそこ上がってきてますので、

いつもなら4人態勢なのを3人、さらに夏休み等で2人とかで

回してみたりしています。

 

今まで有給は消えモノという認識がありましたので

ここぞとばかり堂々と取得を検査室でしているのですが

 

・・・嫌味言われる。

 

部署によって有給をめちゃめちゃ取れたり(飲食店系搬送部門)、

はたまたこのコロナ禍で

さらに絞り込まれて全然有給が取れなかったり(臨床搬送部門)、

同じ会社の中でさらに部署の中でも取れる人と取れない人が出てきているみたい。

 

ほんとに仕事上どうにもならない部署もあるのは分かってる。

搬送とかは、得意先の指定の時間があるから、作業自体は減っても

人数は必要。ただ、多能工を「自分の仕事を取られたら困る」で進めなかった

部門が「休めない」って言ってるのはどうかと思う。

ましてや、そこから「ずるい」「楽してる」とか言われる筋合いはない。

 

まあ、そこから言われているわけではないけど、同じ部門長に申請するので

「他の部署のことも考えて提出しろ」と言われても、

じゃあ、全員出勤させますよ?って話。だって、仕事減ってないんだもん。

 

八つ当たりなのかもしれないねぇ。

 

言えないけど。

検査責任者兼カスタマーサポートセンター?

ここ小さなラボでもお盆休み休暇というものがあります。

お盆休みって言っても通常の8/13~15なんてことでもなく

7月から9月までに4日、休みを取ってもいいですよー。

(取らないと消えちゃうよー。)というお休みが頂けるシステム。

 

通常の規定された休みも月に3日取得して頂かなければいけないので

夏期間は毎日誰かが休んでいるという感じになります。

 

そんな感じで、この7月中はちょいちょい休みを頂いています。

ルーチン業務に関しては、誰が休んでも遜色なく遂行できるようになっているのですが

問題は顧客であるドクターからの問い合わせ。

 

小さな検査室あるあるなのですが、うちのラボでも緊急性の高い

生化学・血液学・一部輸血部門しか実施していません。

他は提携先や親会社に送って実施してもらっています。

 

ですが、そんなことドクターには関係ない話で、「○○検査の結果値について

説明して欲しい」とか「この検査が異常値なんだけど、追加するべき検査は何?」

とか、果ては「患者になんて説明したらいい?」まで・・・

もはや、お客様相談室みたいになっています。

 

顧客対応は基本的に対応のための部署があるので、そこで対応してもらっているのですが、そこで対応できないめんどくさいドクター案件が、こちらに振られてくるわけです。

 

それは、私が休みだろうが掛かってくるわけで・・・

過去の問い合わせの内容はまとめているので、ある程度は答えられるように

なっているのですが、困るのはうちのラボでやっていなくて、さらにあまりメジャーじゃない検査項目に関する問い合わせ。

 

今回はまさにそれで、私が対応してもちょっとテンパるかもしれない内容でした。

ま、実際ちょっとテンパってしまう事態になったのですが。

 

 問い合わせ内容

 とある感染症の抗体検査結果が陰性と報告されているが、

 これは、現在も過去も感染してないということでよいか。

 実際検査をしている人に話が聞きたい。

 

感染症の検査など、こんな小さなラボでやっているはずもなく

「提携先で検査を行っているため、担当者につなぐことは出来ない」と

顧客対応部署の方が答えたのだけど、「じゃあ検査室に繋いで」ってことで

検査担当の部下君が対応することになりました。

ドクターの質問は理解できたものの回答は出来ず

「対応できる者が本日休みを頂いておりまして、明日回答いたします」と回答。

 

休み明けの私に、引き継ぐことに。

 

ちょっと待って。

 

提携先で検査を行っているので担当者に電話を繋ぐことは出来ません。

 ↓

対応できる者が本日休みを頂いているので回答は明日。

 ↓

・・・。

 

え?!

これ、私が検査担当者になってない?

 

いやぁ、朝から文献読みまくりましたよ。

ドクターの方も、回答がなかなか得られないもんだから自分でも

お調べになられたとのことで、質問がより複雑になってるじゃないの。

 

まあ、納得して頂ける回答は【なんとか】できましたが。

 

勘弁してよー。私だって知らないものは知らないんだってば。

ドクターと話しているとき、全然緊張とかしてないように見えるらしいが

普通に緊張するよ?

ドクターと仲良さそうに話してるって言われるが、基本は人見知りのコミュ障。

(これも検査技師あるある)

 

内容は適当に話してたり(意外と的を得ているようだけど)

ドクターの愚痴を聞いているだけだったり(内容があまりない方もいる)

要はドクターも不安だから話を聞いて欲しいんだろうなって

(実際確認事項を話すだけで、ご自分で答え持ってる方がほとんど)

そんな感じで、カスタマーサポートというよりカウンセリングに近いかも。

 

カウンセリングと言えば、採用面接の面接官側をやることも多いけど

一緒にやった同僚に「カウンセリングみたいですね」って言われたなぁ。

まあ、うちに向いてないけど、優秀な子とかだとちゃんと就職して欲しいもんね。

 

あと、ろくでもない子も「ここ、見られてるから気をつけなさい」とか言っちゃう。

 

んーーーー、こればっかりは性格だからなぁ。

 

 

 

 

うわー、英語表記わかんねー。

ここ小さな検査室は現在2台のBioRad社製のCFX96が置かれています。

 

元々は、国内メーカーであるTaKaRaBio社製のDiceだったんですけど、これからの時代のPCRはプローブ法だ!と3波長検出のCFXに乗り換えました。

まあ、3波長ってのもそうだけど、メンテナンスフリーってのが嬉しいのが本音だったり。

タカラさんの毎年か2年に1回、3万円くらいの器材を買って、メーカーさんに来てもらってメンテナンスが必要でした。ランプだったかな?

 

そんなこんなで、最初の1台めは3波長って理由で購入したんだけど、2台めは別に3波長じゃなくてもいいし、ってことで小さな検査室恒例のどっちがお得か競争をしてもらうことになりました。

 

恒例って言っても、他の部署は何か必要な機材があって稟議書くだけで通ったりするんだけど、検査室だけ「これが本当にベストか?」と稟議が通らなくなってしまったのですよ。

最初に稟議書いたとき、備考に同種他メーカーの比較表を提出してしまった私が悪いんですけど。だって、比較もせずに数十万の品を購入するってありえないって思ったもんだから。

 

なので検査室の稟議は、他部署より高いハードルを乗り越えないといけないのです。

(他部署にさせると稟議を上げるのが恐ろしいレベルで遅くなるらしい・・・)

 

さて、前置きが長くなりましたがそんなわけで、いろいろ検討した結果、CFX96の2台持ちになったわけですが、最後まで検討に残ったDiceとCFX決め手は値段。

まさにオークション状態です。「もう一声!」に桁を変えて下げてきたさすが外資系の

BioRad。唯一の欠点は、画面表記が全て英語。BioRadさんに日本語のソフト出ませんか?って聞いても、「それはないです。慣れればなんてことないですよ。」とのこと。

 

まあ、実際ルーチンとして使用するには、問題ないんですよ。

ですが、検討とかになってくると話が違う。

 

解析ソフトがないCovid19-qPCR(新型コロナPCR)とかになってくると、補正が必要になってきたりするので、「蛍光?」「補正?」「閾値?」と日本語表記でもギリギリ分かる単語を

英語表記の中から探すことになってます。

 

今回は、ぱにゃぱにゃな検討Covid19-qPCRのデータ補正(CFX生データやと陰性が陽性になっちゃう)

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このピンクとオレンジで縁取りしたのが、蛍光ドリフト(目的じゃない物質を検出してしまった状態)を起こしてしまった検体。そしてその検体の主は私だったりするので、正直焦りました。

 

自分が陽性だったら困るので改ざんしてるんじゃね?って思われたら嫌なので先に弁明しておくと、通常PCRの増幅モニタリングの8サイクルまでは、別のものを検出している可能性もあるため、基線として使わないのですよ。

このピンクとオレンジも増幅が検出され始めるのは2-3とまあ、普通はありえないサイクル数ですので、蛍光ドリフトの可能性が高い。

 

ってことで、数々のコマンドの中から選びました。

 

設定するんだから・・・Setting ➝

基線を設定するってことで・・・Baseline Setting ➝

 

ここまでは分かる。

 

1.No Baseline Subtraction

2.Baseline Subtracted

3.Baseline Subtracted Curve Fit

4.Apply Fluorescence Drift Correction

 

どれよ?

 

1.まずはひとつめSubtraction・・・引き算。

Noがついてるので、ベースラインの補正なしってことでいいかな?

 

2.今度はSubtracted・・・減算

 Noがついてないので、今度はやりますよってことかな?

 

3.ここからそのままの英訳がWebに出てる!よしっ!

 Baseline Subtracted Curve Fit・・・ベースライン減算曲線フィット

 解析終了の時点で設定がこれ。

 

  1. Apply Fluorescence Drift Correction・・・蛍光ドリフト補正を適用

 これだっ!

ってことで、ピコンとクリック。

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無事(?)、ドリフトは消えて陽性コントロールだけCovid19陽性検出(紫の線)

検査員は全て、内部コントロールだけ陽性検出(青の線)になりました。

 

昨今の、PCRブーム(言い方・・・)で、BioRadさんからの日本語ソフト出ないかなぁ。

 

なんて悠長なこと言ってる場合じゃないのよね。

 

検査分野じゃない産業からもどんどんPCR検査会社が立ち上がってるってことは

こんな小さいラボじゃ、価格競争負けちゃうじゃないか。

 

中には価格じゃないんです、信用です!って言ってくれている顧客さんもいますが・・・

せめて精度だけは落とさない検査をしなければ。

 

(上層部に評価はされないジレンマ)

好きな字に囲まれて仕事したいんですよ。

自他ともに認める丸っこい字使いです。直筆もほぼ特定されてしまうレベル。

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本当は、検査室で使う文書類は全て「UDデジタル教科書体NK-R」に

変えたいところですが、人それぞれ好きな字が違うし、

端末も違うので「MSPゴシック」に統一して規定書とSOP類を作成してます。

 

・・・って思ってたら、検査室で一番古株のオバサマたちが作成してくれている機器チェックリスト類が好き放題なフォントになっているじゃないの。

検査室の機器チェックリストと作業日誌=HG丸ゴシックM-PROじゃん・・・

いや、なんでもいいなら最初からUDデジタル使ってたのに。

 

規定書もSOPも10年前に私が作成したもののコピーや、試薬メーカーに作成させたものをコピー&切り貼り(手作業の方)で、前任者が更新していたので、全部Wordに打ち換えたのです。今から全部変更して、体裁整えよっかなぁ。

 

仕事なくて暇だし!!!!!!!

 

監査に備えて書類整備しているのだけど、部長から

「(ルーチンやることなくて)暇なんだろ?だったら他部署を手伝え。」

と、信じられない罵声を浴びせられてみたりしてるのを根に持ってます・・・

 

暇な人だったら、残業代つかない課長職なのに残業なんてしませんよ。

ほんと、何が言いたいのか全然わからないです。

自分の理解できないことを、出来損ないと思ってる人間に指摘されそうで怖いのかな?

 

可愛いね(殴るよ?)

 

ま、自分の休憩時間にこんな感じでラボの鬱憤を書いているんだから、

暇なんでしょうね。(休憩時間だからいいじゃないか)

 

来年、監査の当たり年なんだけど、コロナの影響でどうなるんだろうなぁ。

今年の保健所の立ち入りはなくなったんだけど・・・

 

これを機に、ISO監査と医療関連サービスと保健所立ち入りが同時期に来てくれるようにならないかなぁ。書類まとめるの、結構面倒なんだよね。

 

もう、この小さいラボに来て丸三年になるから、ほぼ書類とか監査に対応できるラボづくりは出来たので、いつ来てもらってもそこそこの対応は出来る自負があるのですけどねー。

 

ほんと、誰か褒めてっ。

 

前任者が積んでいった10年分のグチャグチャと、総務部が理解していなかったISO文書の理解と更新をやったんですよ。

部長曰く、前任者もやってたことやろ?って話だけど、ごまかして嘘ついて改ざんして

クリアしてた過去10年と、堂々と監査を受けれる今と一緒にしないで欲しい。

 

社長を含め、まったく伝わらないどころか

検査部長+総務部長による社長に対する私のネガティブキャンペーン

確かに、忖度しない発言は敵を作るって分かってても、大人になりきれないので

社長にも言っちゃうから、この3人が結託するのも分かる。

 

じゃあ、解雇すればいいじゃんって思うけど、それはそれで私の後任はいない。

(本当は誰でも出来るように全部マニュアル・フォーマット作成済)

 

なので、放任している形を取ってくれています。

 

実際、検査着を着崩してたり、毎日定刻の2分前にタイムカード押してたり、

朝起きれないから、早くても10時にしか出勤しなかったり・・・

でも、ほぼ怒られたことがないです。

 

面と向かって歯向かうと、上記のことを引っ張り出して怒られますが。

 

ま、そんな感じですよ。

 

ストレスで心が壊れるタイプではないので、ギリギリまで気がつかないのですが

毎日、眠れないしお腹をずっと壊しているのでそろそろヤバイかもですね。

 

出向先ではストレスで体を壊して入院してますからねー。あかんねー。

 

 

コロナ禍の外部研修

webセミナー

コロナ禍でなかなか、外部研修に出れない。

新入社員も入ったし、最初が肝心だから外部研修とかガンガン参加してもらって

スキル上げて欲しいんだけど、なかなか・・・

社内研修がメインになってしまうんだけど、どうしても私流な物の見方を教えて

しまって、新しい風が吹かなくなっちゃうのも嫌だなぁ、と。

 

そんな中、最近はZoomを利用した外部研修が増えてきた。

どうもねー、もにょもにょする。慣れてないからねぇ。

 

研修中だろうが、否応なしにかかってくる内線。

なまじ居てるもんやから、電話も対応しなきゃいけない。

んでもって、その他大勢の社内の人間は、イヤホンを耳に刺したまま

画面を見てるのを、仕事中とは思ってくれない。

 

めっちゃ話しかけてくる・・・暇じゃないんだよ。

(いつも忙しそうで話しかけにくいらしい)

 

そして、眠い。緊張感がないので。

実はイヤホンで講座を聞きながら、前処理の片付けをしていたりする。

さ、本日も1本。

 

気合を入れていきましょう!!

検査室とマスク問題

雨とか暑さとかコロナとかなんだか憂鬱な日が続きますね。

検査室では、人間より先に生化学の分析器が暑さ(・・・というか湿気かな)でダウンしちゃうので、夏場は冷房がガンガンにかかってます。ずっと長袖のパーカーを羽織っています。

 

まあ、これも重鎮たちから見ると「けしからん!!」な案件だと思うのですが、

仕方ない。寒いもん。

 

元々、検査室内ではマスクをすることになってはいるのですが、生化学のお部屋では

至急処理くらいしか検体のフタを開けることがないので、マスクをしたりしなかったりでございました。

しかーし、このコロナ禍に於いては「マスクをしない=悪魔の手先」くらいの扱いをされてしまいます。さすがに電車とか人混みでは私もマスクしているのですが、難儀なことに

不撚糸のマスクも毛羽立たない上等なものでないと、繊細な私は咳き込んでしまうのです。

 

検査室のマスクは、そこまで粗悪なマスクでもないのですが、繊細な私(しつこい)には

到底一日つけておくことが出来ません。

 

なので、自腹で購入した特殊布マスク(抗菌抗ウイルス仕様)を1枚¥1,980円というぶっ飛びお値段で購入して付けておりますのです。

 

でも、マスクに「このマスクは超高級マスクで不撚糸よりも凄いんだから」とは書いていません。(当たりまえ)

さすがに、検査工程に入るときは使い捨ては厳しいので、会社のそこそこまともなマスクを使わせて頂いております。

 

でも、基本はこの高級マスクで一日を過ごしています。

そんなある日、会社の重鎮たち(社長・取締役部長・課長などそれぞれの部門のトップ)が集まる会議に出てまして・・・残念ながら私も課長なので・・・その事件は起きました。

 

会議といいましても、ほぼ発表会。社長もほぼ声を出さない。そんな会議でございます。

ISO取得に必要な文書を作成するための会議みたいなもんですね。(口を慎め)

 

一人、出席者が5分ほど遅刻するということだったのですが、「まあ、先に始めますか」と

会議がスタートしま・・・せんでした。

急に、いつも意見どころか声も上げない社長が、私の顔をマジマジと眺め一言。

「○○課長、そのマスクはなんでつけてるの?」と。

一瞬パニック。ナンデツケテルノ?とは???

 

よくよく聞いてみると、テレビでは「ウレタンのマスクは全然効果がない。効果が期待できるのは不撚糸マスクだけ」みたいなのをよくやっている。そんな中、検査の長である私が不撚糸ではないマスクをつけているのはどうゆうことか説明しろ、ということらしい。

 

両脇を固めている重鎮たちも「そうだそうだ!」的に合いの手を入れている。

ん?会議で集まって話すことか?

 

えと、私は今から貴重な皆様の時間を使ってこのマスクの効能を説明すればいいのかな?

と、「このマスクは・・・」と説明しようとすると、「検査室のマスクを使いなさい」とご命令。はぁ・・・(たしか、コロナが始まった時も喘息持ちだから不撚糸のマスクは辛いと社長じきじきに伝えたはずだけど、一社員の言ったことは覚えてないか)

「検査に入るときは使わせて頂いています。このマスクは・・・(ウレタンじゃないです)」と言いかけたところに、遅れてきた参加者(社長のお気に入りの私の部下)が入ってきた。

 

シン・・・・。

 

一斉に黙り込む、重鎮たち。

社長のお気に入りは、「遅くなって申し訳ありません。」と一礼。黙り込むおっちゃんたちと

何か話す直前で、椅子から腰がういてる私にきょとんとしている。

 

社長の取り巻きの一人が「じゃあ、揃ったので始めます」と何事もなかったかのように会議が始まった。

社長はどうやら、私にぎゃふんと言わせたかったっぽい。

 

このラボに戻ってきて、この重鎮さん会議で私の放った暴言(と思われている)の数々。

1. 書面に残すのが目的な会議ならメールでいいんじゃないですか。

2. 社長の「インシデントカードの周知って必要?」の発言に呆れて、「周知の意味をご存じないのですか。」

3. 監査前、監査後の報告が担当者間で行えばいいとの決定に「この会議の意図は?」

  結果、私がうるさいのでまた監査後集まってくださいという謎の招集。

 

まあ、60点取れればいいじゃない?って思ってるラボだもん。

切ないなぁ。

 

唯一の救いは、私のチームの検査員たちは全員「課長についていきます」と言ってくれてるところ。まあ、私が干されたら終わりなんだろうけど。

ちまたで噂の(トピックとしてはもう古い)

えと、ここの小さいラボでも実は新型コロナPCRを受託できる体制が整いました。

腹立たしいことは山盛りですが、この腹立たしい思いを給料だと思って飲み込みます。

(ついに部下は10円ハゲを作ってます・・・私か?)

 

スタートは去年のちょうど新型コロナを最初に聞いたころ。

ニュースでは、連日「検査法はPCRしかないが、出来る施設も出来る人材もいない」と

報道されておりました。奇しくも、当ラボPCRのマシンは前年の検査法の変更時に

「買ってくれー。」と直談判したおかげで、たまたまの2台持ち。

しかも稼働時間が2台とも1日1回といういつ「無駄遣い」と言われてもおかしくない状況でございました。(もっと依頼取れると思っていた)

 

ずっと日陰だと思ってた臨床検査技師というお仕事。

毎日、ニュースで連呼されている臨床検査技師というお仕事。

世の中の役に立てる!今なら!!

 

と、取締役曰く考えの浅い、浅すぎるアホの私は取締役に掛け合ったのでした。

(国からの打診もあったしね)

 

ええ。

未知のウイルスですものね。

罹患したら、死ぬかもしれない。

うちのラボで、クラスターを生むかもしれない。

防ぎ方?そんなん誰もわからない。

 

取締役に、すごい剣幕で怒鳴られ「そんなに流行りものに手を付けたいなら、会社辞めて他所でやれ」「お前専用の小屋でも作ってやってろ」「お前の立場で、よくそんな浅い考え持ってきたな」とまあ。散々。

 

一応ね、うちのラボでもカテゴリー2という感染対策が出来てるってことで

打診したんだけども、100点の感染防御なんてね、未だに出来ていないもの当時の私に

求められてもね、無理ですよ。

 

ってことで、「すいませんでした、浅すぎました。」と言って検査室に戻ってきました。

 

まあ、その後ね。

家族にこっぴどく怒られましたね。「あんた、自分の持病のこと分かってるの!」って。

そうだった私、吸引器持ち歩くレベルの喘息持ちでした。

 

いや、でもね。

憧れるやん。今ならヒーローになれるって思ったのよね。

 

で、一旦流れたはずの新型コロナPCR検査でしたが、その半年後、まさかの部長の口から

「このご時世、やらないって選択はないと思う」って。

 

その頃はすっかり、「そうだよな、部下にも家族おるもんな。勝手に決めてしまうところだった・・・申し訳ない。」って反省までしていたので、

 

「え?それ、部下に命令せないかんの?」って思いましたよ。

これがまた、うちの上層部のいやらしいところだけど

「検査部の意向を教えてくれ」って。意向?意向ってどうゆうこと?

やりたくないって言っていいの?

 

「やらないってことなら、なぜやらないかもちゃんと書面にして出してくれ」

ちょ、ちょ、ちょ、それって「やりますって言えよ」って圧力じゃないか。

 

幸い、部下たちの反応は「僕ら断ったら、課長ひとりで検査することになるんですか?」

ってことで。「率先してやりたいってことはありませんが、会社の大意なら従います。」と

もう、なんていい子たちなんだろう。ヒゲ痛そうだけど、ほっぺスリスリしたくなりました。

(はい、セクハラ)

 

そんなこんなで。

準備だけはバッチリ終わっておりまして、報告も済んだはずなんですけども。

上層部、今度はなぜか私が検査実施に対してあまり乗り気ではないと社長に報告したみたいで、受託が止まってます。

 

え?どうゆうこと??

こ、これは。

これで、「私は受託していいと思ってます」なんて言いに行ったら、

検査課長が乗り気だから、やることになりましたって言うんだろ?

 

このパターン、実は前もあったので。

誰も責任を取りたくない場面で、判断をしなければならないって時は、

どこの部署の話であっても、取締役は「検査に聞いてきて」という。

私の見解を持って、「検査がそう言ってました」がなぜか免罪符。

 

もし、頓挫したら「お前の考えが甘かったってことちゃうんか」ってなるんですね。

決断を放棄した人に言われたくないなぁ。

 

なので、このまま陰口を叩かれっぱなしになる予感。

どんどん増えていく新規感染者。

変異型の同定キットも検討してみろって言われたけども、さすがにそれは今から検討して導入したころには、全て変異型に置き換わっているのが予測できるので、やんわりと断った。

 

PCR検査自体も、もうすぐ「やってもあまり意味がない」検査になりそうだ。

去年の10月に「やるべき」と指示を受けて、準備と工程の構築は去年末までに準備完了。

で、かれこれ4カ月放置されている。なんの準備期間なんだろうね。不思議。