うわー、英語表記わかんねー。
ここ小さな検査室は現在2台のBioRad社製のCFX96が置かれています。
元々は、国内メーカーであるTaKaRaBio社製のDiceだったんですけど、これからの時代のPCRはプローブ法だ!と3波長検出のCFXに乗り換えました。
まあ、3波長ってのもそうだけど、メンテナンスフリーってのが嬉しいのが本音だったり。
タカラさんの毎年か2年に1回、3万円くらいの器材を買って、メーカーさんに来てもらってメンテナンスが必要でした。ランプだったかな?
そんなこんなで、最初の1台めは3波長って理由で購入したんだけど、2台めは別に3波長じゃなくてもいいし、ってことで小さな検査室恒例のどっちがお得か競争をしてもらうことになりました。
恒例って言っても、他の部署は何か必要な機材があって稟議書くだけで通ったりするんだけど、検査室だけ「これが本当にベストか?」と稟議が通らなくなってしまったのですよ。
最初に稟議書いたとき、備考に同種他メーカーの比較表を提出してしまった私が悪いんですけど。だって、比較もせずに数十万の品を購入するってありえないって思ったもんだから。
なので検査室の稟議は、他部署より高いハードルを乗り越えないといけないのです。
(他部署にさせると稟議を上げるのが恐ろしいレベルで遅くなるらしい・・・)
さて、前置きが長くなりましたがそんなわけで、いろいろ検討した結果、CFX96の2台持ちになったわけですが、最後まで検討に残ったDiceとCFX決め手は値段。
まさにオークション状態です。「もう一声!」に桁を変えて下げてきたさすが外資系の
BioRad。唯一の欠点は、画面表記が全て英語。BioRadさんに日本語のソフト出ませんか?って聞いても、「それはないです。慣れればなんてことないですよ。」とのこと。
まあ、実際ルーチンとして使用するには、問題ないんですよ。
ですが、検討とかになってくると話が違う。
解析ソフトがないCovid19-qPCR(新型コロナPCR)とかになってくると、補正が必要になってきたりするので、「蛍光?」「補正?」「閾値?」と日本語表記でもギリギリ分かる単語を
英語表記の中から探すことになってます。
今回は、ぱにゃぱにゃな検討Covid19-qPCRのデータ補正(CFX生データやと陰性が陽性になっちゃう)
このピンクとオレンジで縁取りしたのが、蛍光ドリフト(目的じゃない物質を検出してしまった状態)を起こしてしまった検体。そしてその検体の主は私だったりするので、正直焦りました。
自分が陽性だったら困るので改ざんしてるんじゃね?って思われたら嫌なので先に弁明しておくと、通常PCRの増幅モニタリングの8サイクルまでは、別のものを検出している可能性もあるため、基線として使わないのですよ。
このピンクとオレンジも増幅が検出され始めるのは2-3とまあ、普通はありえないサイクル数ですので、蛍光ドリフトの可能性が高い。
ってことで、数々のコマンドの中から選びました。
設定するんだから・・・Setting ➝
基線を設定するってことで・・・Baseline Setting ➝
ここまでは分かる。
1.No Baseline Subtraction
2.Baseline Subtracted
3.Baseline Subtracted Curve Fit
4.Apply Fluorescence Drift Correction
どれよ?
1.まずはひとつめSubtraction・・・引き算。
Noがついてるので、ベースラインの補正なしってことでいいかな?
2.今度はSubtracted・・・減算
Noがついてないので、今度はやりますよってことかな?
3.ここからそのままの英訳がWebに出てる!よしっ!
Baseline Subtracted Curve Fit・・・ベースライン減算曲線フィット
解析終了の時点で設定がこれ。
- Apply Fluorescence Drift Correction・・・蛍光ドリフト補正を適用
これだっ!
ってことで、ピコンとクリック。
無事(?)、ドリフトは消えて陽性コントロールだけCovid19陽性検出(紫の線)
検査員は全て、内部コントロールだけ陽性検出(青の線)になりました。
昨今の、PCRブーム(言い方・・・)で、BioRadさんからの日本語ソフト出ないかなぁ。
なんて悠長なこと言ってる場合じゃないのよね。
検査分野じゃない産業からもどんどんPCR検査会社が立ち上がってるってことは
こんな小さいラボじゃ、価格競争負けちゃうじゃないか。
中には価格じゃないんです、信用です!って言ってくれている顧客さんもいますが・・・
せめて精度だけは落とさない検査をしなければ。
(上層部に評価はされないジレンマ)