精度管理責任者の憂鬱

小さな検査室の日常

ちまたで噂の(トピックとしてはもう古い)

えと、ここの小さいラボでも実は新型コロナPCRを受託できる体制が整いました。

腹立たしいことは山盛りですが、この腹立たしい思いを給料だと思って飲み込みます。

(ついに部下は10円ハゲを作ってます・・・私か?)

 

スタートは去年のちょうど新型コロナを最初に聞いたころ。

ニュースでは、連日「検査法はPCRしかないが、出来る施設も出来る人材もいない」と

報道されておりました。奇しくも、当ラボPCRのマシンは前年の検査法の変更時に

「買ってくれー。」と直談判したおかげで、たまたまの2台持ち。

しかも稼働時間が2台とも1日1回といういつ「無駄遣い」と言われてもおかしくない状況でございました。(もっと依頼取れると思っていた)

 

ずっと日陰だと思ってた臨床検査技師というお仕事。

毎日、ニュースで連呼されている臨床検査技師というお仕事。

世の中の役に立てる!今なら!!

 

と、取締役曰く考えの浅い、浅すぎるアホの私は取締役に掛け合ったのでした。

(国からの打診もあったしね)

 

ええ。

未知のウイルスですものね。

罹患したら、死ぬかもしれない。

うちのラボで、クラスターを生むかもしれない。

防ぎ方?そんなん誰もわからない。

 

取締役に、すごい剣幕で怒鳴られ「そんなに流行りものに手を付けたいなら、会社辞めて他所でやれ」「お前専用の小屋でも作ってやってろ」「お前の立場で、よくそんな浅い考え持ってきたな」とまあ。散々。

 

一応ね、うちのラボでもカテゴリー2という感染対策が出来てるってことで

打診したんだけども、100点の感染防御なんてね、未だに出来ていないもの当時の私に

求められてもね、無理ですよ。

 

ってことで、「すいませんでした、浅すぎました。」と言って検査室に戻ってきました。

 

まあ、その後ね。

家族にこっぴどく怒られましたね。「あんた、自分の持病のこと分かってるの!」って。

そうだった私、吸引器持ち歩くレベルの喘息持ちでした。

 

いや、でもね。

憧れるやん。今ならヒーローになれるって思ったのよね。

 

で、一旦流れたはずの新型コロナPCR検査でしたが、その半年後、まさかの部長の口から

「このご時世、やらないって選択はないと思う」って。

 

その頃はすっかり、「そうだよな、部下にも家族おるもんな。勝手に決めてしまうところだった・・・申し訳ない。」って反省までしていたので、

 

「え?それ、部下に命令せないかんの?」って思いましたよ。

これがまた、うちの上層部のいやらしいところだけど

「検査部の意向を教えてくれ」って。意向?意向ってどうゆうこと?

やりたくないって言っていいの?

 

「やらないってことなら、なぜやらないかもちゃんと書面にして出してくれ」

ちょ、ちょ、ちょ、それって「やりますって言えよ」って圧力じゃないか。

 

幸い、部下たちの反応は「僕ら断ったら、課長ひとりで検査することになるんですか?」

ってことで。「率先してやりたいってことはありませんが、会社の大意なら従います。」と

もう、なんていい子たちなんだろう。ヒゲ痛そうだけど、ほっぺスリスリしたくなりました。

(はい、セクハラ)

 

そんなこんなで。

準備だけはバッチリ終わっておりまして、報告も済んだはずなんですけども。

上層部、今度はなぜか私が検査実施に対してあまり乗り気ではないと社長に報告したみたいで、受託が止まってます。

 

え?どうゆうこと??

こ、これは。

これで、「私は受託していいと思ってます」なんて言いに行ったら、

検査課長が乗り気だから、やることになりましたって言うんだろ?

 

このパターン、実は前もあったので。

誰も責任を取りたくない場面で、判断をしなければならないって時は、

どこの部署の話であっても、取締役は「検査に聞いてきて」という。

私の見解を持って、「検査がそう言ってました」がなぜか免罪符。

 

もし、頓挫したら「お前の考えが甘かったってことちゃうんか」ってなるんですね。

決断を放棄した人に言われたくないなぁ。

 

なので、このまま陰口を叩かれっぱなしになる予感。

どんどん増えていく新規感染者。

変異型の同定キットも検討してみろって言われたけども、さすがにそれは今から検討して導入したころには、全て変異型に置き換わっているのが予測できるので、やんわりと断った。

 

PCR検査自体も、もうすぐ「やってもあまり意味がない」検査になりそうだ。

去年の10月に「やるべき」と指示を受けて、準備と工程の構築は去年末までに準備完了。

で、かれこれ4カ月放置されている。なんの準備期間なんだろうね。不思議。